守破離(しゅはり)とは! 学生が重要視すべき「守」について

マッサージや徒手療法を学んでいると、

 

「先生によって言っていることが違う」

 

「前の授業ではこう習ったのに、別の先生からは違う方法を教わった」

 

「結局、どの方法が正しいのだろう?」

 

と混乱することがあります。

 

とくに実技では、手を当てる位置、身体の使い方、施術の順番、患者さんへの声かけなど、講師によって微妙な違いがみられることがあります。

 

学生の立場からすると、こうした違いはなかなか厄介です。

 

まだ一つの方法も十分に身についていない段階で複数の方法を示されると、

 

「どれを覚えればいいの?」

 

と混乱してしまうからです。

 

そんなときに、一つの考え方として知っておくとよいのが、

 

守・破・離しゅ・は・り

 

です。

 

そして特に、マッサージ学生にとって重要なのが、最初の段階である「」です。

 

この記事では、手技療法に守破離をどのように当てはめればよいのか、特に「守」の段階を中心に考えてみます。

 

 

「守・破・離」とは?

 

守・破・離とは、物事を身につけていく過程を、

 

守 → 破 → 離

 

という段階で考えるものです。

 

簡単に表すと、

 

守:まず基本となる型を忠実に学ぶ

破:基本を身につけたうえで、別の方法や工夫も取り入れる

離:さまざまな経験を統合し、自分なりに適切な方法を選択できるようになる

 

というイメージです。

 

 

手技療法に当てはめるなら、

 

守:まず基本的な手技を正しく再現できるようになる

破:基本を身につけたうえで、患者さんや状況に応じて工夫する

離:特定の手技や方法にとらわれず、その人に必要な介入を選択する

 

と考えると分かりやすいでしょう。

 

そして、マッサージの学習に置き換えると、学生のうちは、まず何よりも「守」が重要になります。

 

 

学生時代は、まず「守」を大切にする

 

マッサージの実技授業では、先生からさまざまな手技を教えてもらいます。

 

例えば、

  • 患者さんの姿勢
  • 施術者の立ち位置
  • 手の当て方
  • 母指や手掌の使い方
  • 圧を加える方向
  • 施術する順番
  • リズム
  • 力加減
  • 身体の使い方

など、一つの手技にも多くのポイントがあります。

 

「守」の段階では、まず先生から教わった方法をできる限り忠実に再現してみることが大切です。

 

ここで、

 

「自分はこの持ち方のほうがやりやすい」

 

「この順番のほうが効きそうな気がする」

 

「YouTubeでは違う方法をやっていた」

 

などと、まだ基本が身についていない段階から自己流に変えてしまうと、そもそもの「型」を十分に経験できなくなります。

 

もちろん、教えられた方法を盲目的に信じ続ける必要はありません。

 

しかし、型を変えるためには、まず型を知っている必要があります。

 

これが「守」の大切なところです。

 

 

「忠実に学ぶ」とは、何も考えないことではない

 

ここで誤解してほしくないのは、

 

「先生の言うことに何も疑問を持たず、そのまま従えばよい」

 

という意味ではないことです。

 

むしろ、

 

「なぜ、この姿勢なのだろう?」

 

「なぜ、この方向に圧を加えるのだろう?」

 

「なぜ、この順番で施術するのだろう?」

 

と考えることは、とても大切です。

 

ただし、最初から自分の考えだけで方法を変更するのではなく、

 

まず教わった方法を忠実にやってみたうえで、その意味を考える。

 

この順番が重要です。

 

例えば先生から、

 

「圧を腕の力だけで入れるのではなく、身体全体を使って加えましょう」

 

と教わったとします。

 

最初は、その意味が十分に分からないかもしれません。

 

しかし、何度も練習しているうちに、

 

「腕だけで押すと疲れやすい」

 

「身体を使ったほうが安定した圧を加えやすい」

 

「自分の身体への負担も少ない」

 

といったことが実感として分かってきます。

 

教わった型を繰り返したからこそ、その型が存在する理由が見えてくることがあります。

これも「守」の学習です。

 

 

ところが、先生によって教え方が違うことがある

 

学生にとって難しいのはここからです。

 

学校には複数の講師がいます。

 

すると、

 

「A先生からはこう習った」

 

のに、

 

「B先生からは、それとは違う方法を教わった」

 

ということが起こります。

 

例えば、

 

「母指はこの位置に置く」

 

「いや、もう少しこちらに置く」

 

「この順番で施術する」

 

「私は逆の順番で行う」

 

「この手技では身体をこの方向に向ける」

 

「いや、こちらを向いたほうが施術しやすい」

 

など、細かな違いが出てくることがあります。

 

学生からすると困ってしまいます。

 

「いったい何が正解なの?」

 

と思うのは当然です。

 

しかも試験を受ける立場であれば、

 

「A先生の授業では正解だった方法が、B先生の授業では注意される」

 

ということが起これば、さらに混乱してしまいます。

 

本来、学生が基本を学ぶ段階では、講師間でできるだけ基本となる考え方や手順が統一されているほうが分かりやすいでしょう。

 

ただ、実際には多少の違いが出てしまうことがあります。

 

 

講師自身も、かつては「守」を学んでいた

 

ここで少し視点を変えてみましょう。

 

現在、学生に技術を教えている講師も、最初から今の方法で施術していたわけではありません。

 

講師自身にも、学生だった時期があります。

 

その頃にはおそらく、

 

「まずはこの手順で行いましょう」

 

「ここに手を置きましょう」

 

「この順番で練習しましょう」

 

と基本となる「守」を繰り返し練習してきたはずです。

 

そして臨床に出て、多くの患者さんに触れながら経験を積んでいくうちに、

 

「この患者さんでは少し手の位置を変えたほうがよい」

 

「この体格なら、こちらの立ち位置のほうが施術しやすい」

 

「この場面では、この言い方のほうが患者さんに伝わりやすい」

 

といった工夫が少しずつ加わっていきます。

 

つまり、講師はすでに、

 

「守」から「破」へ進んでいる

ことがあります。

 

場合によっては、さらに多くの経験を重ね、自分なりの方法を確立している人もいるでしょう。

 

その結果として、学生時代に習った基本形から少し変化した方法を、現在は自然に使っていることがあります。

 

そして、その方法を学生にも伝えようとする。

 

これが、講師によって手順や言い回しなどに多少の違いが生じる理由の一つと考えると、少し理解しやすくなるかもしれません。

 

 

「違う」ことばかりに目を向けない

 

では、先生によって違うことを教わったとき、学生はどうすればよいのでしょうか。

 

おすすめしたいのは、

 

違いだけを見るのではなく、共通している部分にも目を向けること

 

です。

 

たとえば、

 

A先生とB先生で手を置く位置が少し違っていたとしても、

 

「何のためにそこへ手を置いているのか」

 

を考えてみます。

 

すると、

 

「どちらも、この部位を安定させるために行っている」

 

という共通点が見えてくるかもしれません。

 

施術の順番が違っていたとしても、

 

「最終的に何を確認しようとしているのか」

 

を考えると、目的そのものは共通していることがあります。

 

つまり、

 

「何が違うのか」だけではなく、「何が共通しているのか」

 

を探してみるわけです。

 

この共通部分こそ、その技術の中心となる大切なエッセンスである可能性があります。

 

 

先生によって少し違う方法を見たときに、

 

「どちらかが間違っている」

 

とすぐに判断するのではなく、

 

「なぜ、この先生はこうしているのだろう?」

 

「共通しているところはどこだろう?」

 

と少しだけ考えてみる。

 

せれだけで十分です。

 

 

「守」があるから「破」ができる

 

学生のうちは、基本どおりに行うことを窮屈に感じることもあるかもしれません。

 

しかし、「守」があるからこそ、将来の「破」があります。

 

たとえば、基本となる手技をしっかり身につけた人であれば、将来に別の方法を見たときに、

 

「基本とは、ここが違う」

 

「この方法では、こういう部分を工夫している」

 

と比較することができます。

 

一方で、基本が曖昧な状態では、別の方法を見ても何が違うのか分かりません。

 

すべてがバラバラの情報として入ってきてしまいます。

 

だからこそ、学生時代の「守」は、

 

将来、いろいろな方法を比較するための基準を自分の中につくる期間

 

ともいえます。

 

 

臨床に出ると「正解が一つ」とは限らなくなる

 

学校では、まず基本となる方法を学びます。

 

しかし臨床に出れば、患者さんは一人ひとり違います。

 

体格も違います。

 

症状も違います。

 

動かせる範囲も違います。

 

理解力や不安の程度も違います。

 

そのため、

 

「学校で習った方法を、そのまま全員に当てはめればよい」

 

とは限りません。

 

そこで必要になるのが「破」です。

 

基本を理解したうえで、

 

「この患者さんでは、どう変えたほうがよいだろう?」

 

と考えるようになります。

 

さらに長い経験を積むことで、さまざまな知識や技術を統合し、状況に応じて自然に適切な選択ができるようになっていく。

 

それが「離」につながっていきます。

 

つまり、

 

守・破・離は別々のものではなく、「守」がその後の「破」「離」の土台になっています。

 

 

だから今は、繰り返し「守」を練習しよう

 

学生の皆さんが今やるべきことは、決して派手ではありません。

 

教わった姿勢を繰り返す。

 

教わった手順を繰り返す。

 

身体の使い方を繰り返す。

 

声かけを繰り返す。

 

何度も練習して、

 

「考えなくてもある程度できる」

 

ところまで基本を身体に入れていく。

 

その繰り返しが大切です。

 

途中で先生によって少し違う方法を教わることもあるでしょう。

 

そんなときは混乱するかもしれません。

 

しかし、

 

「先生によって違うから、何を覚えても意味がない」

 

と考える必要はありません。

 

まずは自分の中に基本となる「守」をつくる。

 

そのうえで、異なる方法に触れたときには、

 

「この中で共通している大切な部分は何だろう?」

 

と考えてみる。

 

その習慣は、将来臨床に出て「破」へ進むときにも役立つはずです。

 

 

まとめ|マッサージ学生は、まず「守」を大切にしよう

 

手技療法における守破離は、

 

  • 守:基本となる型を学ぶ
  • 破:型を理解し、状況に合わせて応用する
  • 離:型そのものにとらわれず、適切な方法を選択する

 

と考えることができます。

 

学生時代に特に重要なのは「守」です。

 

先生から教わった方法を、まず忠実に練習する。

 

同じことを繰り返しながら身体の使い方を身につける。

 

そして、

 

「なぜ、この方法なのだろう?」

 

と考える。

 

この積み重ねが、将来的な「破」や「離」につながります。

 

 

型があるからこそ、型を破ることができるのです。

 

そして、

 

守を丁寧に経験した人ほど、その先の「破」と「離」に進むための確かな土台を持つことができる。

 

「他の方法ではどうなのか?」

 

「もう少し違う体勢のほうが、自分にはシックリくるかも」

 

「この人には、もう少しズラした角度での押圧のほうが反応が良いな」

 

と考えられるようになります。

 

そして、いつか臨床に出て経験を積んだとき、

 

教わった型をそのまま行うだけではなく、患者さんに合わせて適切に変化させられるようになっていきます。

 

マッサージや手技療法を学び始めた学生には、ぜひ「早く自己流になること」よりも、まず一つの基本を丁寧に身につけることを大切にしてほしいと思います。

 

それが、将来さまざまな患者さんに対応できる施術者になるための第一歩です。

 

 

私自身の話

 

私自身、すでに医療系国家資格を有してたこともあって「なぜ?」と思うことも多かったです。

 

ですが、「守 → 破 → 離」の守を大切にしながら、在学中の3年間を長生術に費やすことが出来ました。

 

そして、批判的思考ばかりを向けず、守を大切にしたからこそ、今でも私の中に「私なりの長生術」が生き続けて、私の臨床を助けてくれています。

 

このサイトにおいても「守」の部分を大切にしながら記事を作成しているため、「指導されたこと・アドバイスされた内容 を受け身のまま書き連ねている箇所」が多々あります。

 

一方で、愚直に「守」による自己研鑽をする上で不要な要素は、意識的に除外している点を、ご了承いただければ幸いです。