長生術とは

長生術は、極僅かしか存在しない「日本の伝統療術」の一つ

「長生術」・「長生」とな何か?

この点に関して、長生学園のHPには以下のように記載されています。

 

長生医学の歴史は、浄土真宗へのひたむきな信仰心を持つ長生上人が、仏教の精神を基盤とした「霊肉一体の救済」の根本教義のもとに、自ら研究・確立した治療法を、『長生療術』と名付けたときから始まります。

長生上人は、心の救いだけでなく、同時に病気に悩む人の身体まで救済することが、真の信仰の道ではないかとの信念で、病気で苦しむ人たちの病状や身体についての調査を開始。長年の資料収集、研究から「人体の中心は背骨にあり、すべての病気が大なり小なり脊椎に兆候として現われている」と考え、ついに「脊椎の転位が病源であり、この転位を矯正することによって根本的に病気を取り除くことができる」と確信しました。

そして、昭和6年12月「脊椎矯正法」が名古屋で産声をあげて以来、全国へ指導・普及に努め、同24年8月、浄土真宗の新派として宗教法人「長生教団」(のちに真宗長生派総本山長生寺)を設立。信仰心を要とする長生医術者のために、修練の場を設けました。さらに、長生医学をもっと多くの人に覚えてもらいたいという願いから学校設立に向けて尽カ。昭和29年に長生上人遷化の後も、志を共にしてきた二代目管長柴田阿やを中心に支援者等とその遺志を継ぎ、ついに同31年、あん摩マッサージ指圧師の養成校として長生学園を設立するに至ったのです。

その後、現理事長の柴田正義が整形外科医の立場から更なる研究を加え、ことに第2頸椎の異常が脳神経や自律神経と密接な関係にあることを臨床医学的に立証し、「長生医学」として確立しました。

現在、長生上人の精神は、長生学園の中で脈々と生き続け、長年にわたる実績から高い評価と信頼を集めて、順調な発展を遂げています。

長生(ちょうせい)、これは長生(ながいき)をするという意味に受けとられがちですが、命名の由来は、親鸞著述集「教行信証」信の巻「大信心は則ち是れ長生(ちょうせい)不死(ふし)の神方(じんぽう)」という一節からつけられたもので、「悟りを開き、永遠に魂を生かす」という深遠なる長生上人の願いが込められています。

長生医学は「脊椎矯正」「精神療法」「プラーナ療法」の三位一体の治療法によって病気の原因を根本より取り去り、各人に生まれつき備わっている自然治癒力を発揮させることにより、肉体と精神を健全に保ち、健康で長命で幸福な家庭生活を願う医学なのです。

 

また、3つを融合させることが長生医学であるとのこと。

  • 脊椎矯正
  • プラーナ療法
  • 精神療法

 

文章だけでは「長生術」のコンセプトが理解しにくい

 

長生学園HPを観覧して分かったことは以下の通り。

 

文章を読んでも長生医学がどんな概念なのか?どんな手技を使っているのか意味が分からない?

 

この中で、どんな手技かピンとくるのは「脊椎矯正」くらいだろう。それ以外は抽象的であり、(長生学園が宗教法人ということもあったりで)「お祈りでもして治療するのかな?」と思う人がいても不思議ではない。

 

 

実際に施術を受けても、ピンとこない

 

オープンキャンパスに行けば、長生学園の隣に位置している「長生学園付属臨床実習室」で実際に施術を無料で受けることが出来きる。

私の場合はOCには行けなかったため個別の学校見学であったが、それでも施術を無料でうけることが出来た。

 

ただ、受けた感想は「身体を揺らされながら弱い刺激を全体に加えてくれているな。稀に、関節を動かしたり、ストレッチをしてくれているな」といった程度。

 

手技療法の歴史は古い。

欧米の伝統療法としてのカイロプラクティック、欧州の伝統療法としてのタクティールケアなど、様々な治療法を取り入れたのではないか。by長生学園の生理学講師

 

門外不出の治療手技

※資料や動画を観覧するだけでは、体得できない。

特徴① 脊椎矯正

脊椎は身体の基本ととらえ、脊椎のゆがみを整えて身体を根本から健康な状態へと導いていきます。長生の脊椎矯正は、決して力で行うものではなく、患者さんの状態に合わせてきめ細かな調整を行います。また運動法やストレッチも多く取り入れることで、より高い治療効果を引き出します。

 

 

 

遺伝性の原因をもつ疾患が明らかになるにつれ、脊椎の重要性が改めて認識されてきました。しかし脊椎そのものの捻れに関しては、今日なお軽視される傾向にあります。 私たちは、長年の治療体験をもとに調査研究を重ねた結果、脊椎が真っ直ぐで、しかも捻れのない人は、ごく少数であり、このような人は重い病気にもかかりにくく、長命を保てるということが明らかになっています。
つまり脊椎に異常がおきると、神経が刺激、圧迫を受けて脊髄神経に障害をきたし、痛みや知覚異常をもたらします。また脊椎の異常は自律神経や脳神経にも密接な影響を与え、内臓の働きや血行が悪くなります。
頸椎上部、特に第2頸椎が捻れることで、頭痛、めまい、難聴、咽頭喉頭の異常感、時には吐き気などの症状を引きおこすことがわかっています。これに外傷が加わると更に捻れ、曲がりがひどくなり、耐えられない状態になるのです。
このような骨格の異常は子へと遺伝して、親と同様の症状をおこす場合もあるので、脊椎の曲がりや捻れを矯正することで、根本から体を整えていくことが大切になってきます。

 

 

 

 

 

矯正による賛否

矯正は緩やかに実施する矯正と高速度低振幅による矯正があり、両方学ぶ。

しかし、高速度低振幅には賛否あり、怖いという人もいる。

また、卒業生でも肯定派と否定派に分かれる。

元卒業生で外部講師都市として訪れた人は「誰とは言わないが、授業中バキッとやられて不調が今でも残っているから否定派だ」という人もいた。

確かに、できれば売りになるだろうし、胸椎・腰椎へのスラストで大きな不調をきたす人はあまり知らないが頸椎はやばい。

病院に勤めていて、頸椎矯正で調子が悪くなった人が数多くいる。高齢者にはやってはいけない、全ての人に実施するわけではないと授業中強調されているが、適用非適用の基準はあいまい(年齢が高くなるほどリスクも上がる程度)。もちろんある程度の年齢であっても、昔からスラストを受けるのが好きな人は、やられなれているので「何度か頸椎スラストを受けたことがあるか」も基準となる。ドイツでは・・テストをする必要があるくらいなのに。関節変性によって変わるが、その辺には言及されておらず「生理学的な運動範囲内でやるから」と3年講師は言っていた。整形外科では、生理学的な正常範囲から逸脱している疾患に対するアプローチが求められるので、マリガンコンセプトのような愛護的なもので十分リスク管理を行った方が良いのは言うまでもない。

頸椎の高速度低振幅手技は、誰しもが学びたいわけではないのだから、授業から無くして、卒後教育で良いと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

脊椎矯正について

脊椎矯正については賛否分かれると思います。

上記は「(実際に音が鳴るかどうかに関わらず)指をポキポキ鳴らそうとする行為」をイメージすると一般的に馴染みがあるため分かりやすいと思います。。

脊柱矯正は、矯正時にポキッという音が鳴り易いので「指をポキポキ鳴らすのが気持ち良い」と感じる人であれば好きかもしれません。

事実、ポキッという音は窒素が???ということにより生じると言われていますが、この際にエンドルフィン??が生じるともいわれており、それが爽快感・スッキリ感・鎮痛効果としても現れます。

同時に、関節可動域も拡大するので、それも上記の効果を後押しします(指をポキッと鳴らした後に、こわばりがとれてスッキリする感じはイメージしやすいかと思います。

 

指がちょっとでも強張っていると、ポキットならしてスッキリさせたいという強迫観念にかられるのと同じです。

「首や脊柱が強張ってきた際に、自身で体幹を捻じってポキポキ鳴らすのが好きな人」も、上記はイメージしやすいかもしれません。

 

ただ、上記の経験がある人なら分かるように「一度ポキッと鳴らせば数週間・数カ月はこわばりが無くなる」というものではなく、数日(早い人では数時間)で再び(関節の強張りなどで)ポキットならしたい衝動にかられます。

で「ポキッと鳴らして、その場はスッキリ」というのが繰り返されるだけです。

 

関節がポキッと鳴ることにより、関節が不安定になる可能性を指摘している人がいますが、この点は賛否分かれます。

例えば、指をポキポキ毎日のように鳴らしている人でも、その関節がルーズになっているかと言われれば、そんなこともないからです。

ただ、脊柱の「多軸関節+多くの関節で可動性を担保してい関節」では不安定関節が硬い関節よりも先行して可動してしまうこともあり、不安定な部位への過剰な刺激は不安定性を助長させ(その場は気持ち良いかもしれませんが)不安定性を助長してしまう可能性もあります。

※これは「椎体固定術後に、固定された椎体の上位・下位分節が(固定された関節を代償すべく過剰な運動を要求され、ルーズになる」ということから証明されています。

 

従って、脊柱の関節操作時には(過剰運動性関節を閉鎖して)過少運動性関節のみを可動させる必要があるのですが、それが出来ているかどうかの確認方法は、実際に受けてみることでも、一連の流れを観察する事でも判断できることが多いので、確認してみるのも良いと思います。

 

 

頸椎の(低振幅高速度な)矯正は、学校では基本的に学びません(講師がデモとして紹介してくれることはあります)。

 

また「ベッドを頭部から出した状態で、頸部伸展位からの回旋スラストを加える手技」のような「危険な手技だと国からも認識されているモノ」は使われていません。

 

椎体の偏位が生じている場合「定期的に矯正を受けている方が戻り易い」と言われることがあります。

それだけ動きやすい(硬くない)関節になっているということです。

動きやすいというと聞こえが良いですが、不安定な関節になっている(戻り易いがズレやすい)という可能性も忘れてはならないと感じます。

 

 

 

 

たとえば、アライメンを変化させることでメカニカルストレスから解放されたり、ストレスが分散されたりするのは周知な事実。

 

変形性膝関節症(内反変形)で膝内側荷重痛が生じているケースにおいて、評価で下腿外旋変異している場合、つま先をやや内側へ向けて歩行すると荷重痛が消失するなどの反応が現れることも多い。

 

しかし、それが必ずしも「左右対称に近づけること」が正しいわけではない。

極論として、脊柱管が狭窄している人に対しては、腰椎の生理的前湾を減らしてあげるようなアドバイス(つまりは、猫背でシルバーカーを押すようなアドバイス)のほうがあっている場合もある。

もちろん、ヒトは進化の過程で重力が分散されやすいように「脊柱の生理的湾曲」が形成されるなど機能的になっているので、対称に近づけるという発想が正解な場合もある。

しかし「脊椎矯正ありき(「まずは歪みがあったら矯正」が施術の出発点)」ではなく、評価をして、必要に応じてアライメントをチェックするという発想が現在は主流となっている。

 

重要なのは「正常なアライメントに近づける」ではなく、「その人に適したメカニカルストレスの加わり方への修正(極論として、正常アライメントとから逸脱していることが正解な場合もある)」なのだ。

 

 

もう一つ極端な例を挙げる。

それは「変形した脊椎を有した高齢者」だ。

彼らの中には、関節痛を有している人もいれば、無痛な人もいる。

アライメント評価をしようものなら、脊柱が捻じれまくっているのに、まったく症状がない人も存在するということだ。

「脊椎変異の改善=鎮痛」という方程式を証明したいのであれば、まずは「脊柱変異=疼痛の原因」ということを証明しないと始まらない。

そして「高齢者のような例外」が多ければ多いほど、「構造的破綻=疼痛の原因」という理屈は破綻してくる。

例えば、「脊柱管狭窄症」という病名は「単に脊柱管が狭窄している」というだけでなく「神経症状も出現している」というのが条件だ。なぜ、条件を付け足しているかというと「脊柱管の狭窄は確認できるが無症状な人」が存在するから(変形性脊椎症も同様に診断には条件が付く)。つまりこれも、「構造的破綻=疼痛の原因」ではないことをしめす。

もっと極端な例としては「腰椎分離症」だ。これは「腰椎椎弓部が骨折して癒合されず分離したままの状態」である。数ミリの椎体のゆがみが疼痛誘発に寄与するという発想から考えると、分離症は大問題なはずなのに、無症状な人が大勢いるのは何故だろう?

 

ここまで言っておいて何だが、「アライメント修正」や「過少運動性関節の可動性改善」が鎮痛に繋がる症例は大勢いる。

ただ、評価・治療の出発点を「歪みの修正」とすることへの問題定義をしているに過ぎない。

 

もちろん、アライメントの非対称性・不良姿勢が、「長年の積み重なりにより機能障害に発展する可能性」は大いにあるので、予防の観点から、この点を指摘することにも、何ら否定的ではない。

 

ようはバランス感覚、ケースバイケース・フェアな思考・メタ認知・認知バイアスの除去などのキーワードを持ってることの重要性を説いている。

 

 

また、「アライメントへの着目」というのは末梢組織のみに着目した考えであるが、最近では「中枢感作」などが慢性疼痛に関与していることも証明されており、今後は認知行動療法のような介入(ハンズオフな介入)の有用性がますます高まってくることも、慢性疼痛に関与している人間からしたら常識だ。

 

 

長生術の特徴② プラーナ療法

長生術の特徴の一つに「プラーナ(Prana)」がある。

 

プラーナとは

 

プラーナの語源はインドであり、東洋医学でいうところの「気(気功)」と類似した意味を持つ。

 

プラーナ療法に関して長正学園付属臨床実習室HP・長生学園HPには以下のように記載してある。

 

プラーナとは各自がもつ身体のエネルギーです。自然と調和させることで最大の治療効果を引き出します(長生学園付属臨床実習室HPより引用)

 

宇宙万有に活力を与える原質であり、生命の源をなすものをプラーナと言います。これは、精気または霊気とも呼ばれており、・・中略・・健康な人には常にプラーナが満ちているので、病気で悩む人の患部に手を当てると、プラーナが放出され、それによって症状の程度を把握し、合わせて正思念(良くなれと念じること)することで、病気の回復を早めることもできます。長生医学では、このプラーナの力を診断と治療に応用することで、最大の治療効果を得ています(長生学園HPより引用)

プラナ療法の会得に関して

 

長生術におけるプラナ療法を学ぶにおいて振動法

 

良い姿勢での体重圧

心地よい振幅頭尾側左右3次元

 

 

 

西洋医学的な解釈

 

気を治療に応用するというのは少しスピリチュアルな気もするが、今現在において西洋医学的な解釈をするのであれば「プラセボ効果を発揮しやすい状態」に自身を持っていくことの重要性を学んでいると感じる。

 

そして、治療場面において「手技でプラセボ効果を発揮する条件」としては以下などがあると考える。

  1. 相手を良くしてあげたいと強く思う気持ち
  2. 「相手と信頼関係が構築されている」という下地
  3. 「自身の施術・価値観が絶対的に正しいのだ」という圧倒的なまでの先入観・自信
  4. 触れただけで相手に気持ち良いと思ってもらえるほどに出来上がった施術家の手・技術

 

 

相手を良くしてあげたいと強く思う気持ち

 

精神療法とも通ずる部分があると同時に、当たり前というか、何となく理解できると思うのだが、一応解説してみる。

 

人を施術する際に、自身の気持ち・感情は効果に反映する。これはスピリチュアルな話ではなく「労りの心をもって触れれば、その触れ方は相手にも伝わる」という当然のこと。

逆に、プライベートでイライラていたり、悩み事で心ここにあらずな状態であったり、無感情に「物体を押したり捏ねたりするように筋肉を解す」ということを機械的に施行すると、それは相手にも伝わってしまう。

 

もっと極端に言うと「ベテラン施術家に、自身の多彩な手技を披露するかのように施術を受けた場合」よりも「素人が、下手でも、汗を流しながら、一生懸命施術してくれた場合」のほうが相手に響いて、治療効果が得られることがある。

 

※もちろん、施術自体が上手な方が良いが、そこに気持ちが乗っているかどうかも、付随効果を上乗せするのにかなり重要となってくるということ。

 

 

「相手と信頼関係が構築されている」という下地

 

こちらも「当たり前というか、何となく理解できる内容」であると同時に、精神療法とも通ずる部分があると思う。

こう考えると、精神療法は「当たり前ではあるけれど、軽視できない概念」と言える。

 

「相手と信頼関係が構築されている下地」というのは重要である。

 

相手が自身のことを信頼してくれているかどうかは施術効果に大きな差を及ぼす。

 

ここで再び極論を提示する。

 

自身が好きな「男性アーティスト(or 女性アイドル)」にマッサージ施術をしてもらったとしよう。

その人がマッサージのことを全く知らない素人だったとしても、あなたはメチャクチャ癒されるのではないだろうか?

一方で、大嫌いな人(or 苦手な人 or ストーカー)に全く同じことをされた場合はどうだろう。

同じスキル・同じ施術内容であったとしても、癒され具合は真逆になると思われる。

 

これは肩書き(○○療法創始者、メジャーリーガー○○やオリンピック選手の○○も通っている、医者が推薦)などによっても影響を受ける(心理学ではハロー効果とも呼ばれる)。

 

施術に対する信頼感も効果に影響

もちろん、施術家に対する信頼感と同様に、施術(長生術)に対するクライアントのスタンスも治療効果に影響を及ぼす。

例えば、以下の通り。

  • 「バキッと鳴らす矯正が好きな人には効果絶大」だが、同じことを「矯正に恐怖を感じている人にやってしまうと効果は半減」。
  • 「以前に長生術を体験して良い印象を持っている人には効果は絶大」だが、同じことを「長生術に何の思い入れもない人には効果半減」。あるいは「長生術に力強い指圧によって得られる痛気持ち良い爽快感を求めている人にも効果半減」。

話は脱線するが、治療の前に、長生術のポジティブ情報(脊椎矯正は健康により、日本の伝統療法として脈々と受け継がれている、多くの人を改善させてきたなどなど)を提示しておくことは、良好な付随効果を上乗せするのに繋がりやすい。

 

 

「自身の施術・価値観が絶対的に正しいのだ」という圧倒的なまでの先入観・自信

 

「自分の施術に対してポジティブな先入観・自信」は他者に伝播する。

 

極論として、その考えが施術家による「単なる妄想・思い込みの類」であったとしても、

それがプラセボ効果として相手に伝播しやすくなることが実験で証明されている。

 

もちろん、プラーナ(東洋医学でいうところの気)を、どれだけ自身が信じているかどうかで(それが存在しようが、存在していまいが)治療効果に影響を及ぼすこととなる。

 

 

触れただけで相手に気持ち良いと思ってもらえるほどに出来上がった施術家の手・技術

 

ここまでは、プラーナ療法について長生術と関係ない「施術全般にいえる事象」を関連付けながら解説してきた。

 

しかし、この「出来上がった施術家の手・技術」に関しては、長生術独自の考え方もあり、真骨頂の一つと言える。

ここでは重要なポイントとして以下に分けて解説していく。

  • 施術家特有の手
  • 患部(or クライアント)への密着感
  • 「把握」「皮膚のダブリをとる・組織を詰める」
  • 心地の良い振幅刺激

 

施術家特有の手

上手なマッサージ師に施術してもらった人なら理解してもらえると思うのだが、人は触れられた瞬間~数分間の施術の間に「ベテラン or 素人(あるいは上手な人か、下手な人か)」の区別がついてしまう。

それだけ、キチンとした研鑽を積んできた人の手というのは特有だ。これが、いわゆる「施術家の手」というものだ。

また、熟達した人の手は血流循環がよくなり温かみを帯びる。手の温もりは、機械的な温熱以上にリラクゼーション効果をもたらす。

※これは、長生術独自の概念というより、他のコンセプト全般にも当てはまる概念。

 

患部(orクライアント)への密着感

そして、この手の温もりを最大限に活かすには「施術家の手部が、いかに患部(orクライアント)へ密着した状態で施術出来ているか」によって決まる。

更には、相手を良くしたいという気持ちが、実際に手技にも乗る(精神活動が身体運動へ伝播する)というのは、プラセボ効果の実験でも証明されている事実であり、重要な要素と言える。

※これは長生術の特徴的な概念の一つと言える(長生術を知らない人も一部やっていたりもするが)。

 

「把握」「皮膚のダブリをとる・組織を詰める」という発想

前述した密着感は「安心感」「癒し」という効果をもたらしやすいが、筋・筋膜に対する強度が弱くなってしまうことがある。

そうなると「(指圧のような)グッと軟部組織に指が入り込む圧刺激による爽快感」が犠牲になってしまうこともある。

それをカバーしてくれるのが、この「把握」「皮膚のダブリをとる・組織を詰める」という発想であり、これにより、強押しにより指を傷めるリクスを低減しながら、患部にしっかりとした刺激を伝達することが可能となる。。

逆に言うと、これがマスターできていないと、長生術は(あん摩マッサージ指圧を求めている人にとっては)かなり物足りない「弱圧刺激な手技」と化してしまう。

※これは長生術の特徴的な概念の一つと言える。しかし、熟達した施術家、感の良い施術家は長生術を知らなくても、この原理を知っており、実践していることが多い。

 

心地の良い振幅刺激

長生療術の特徴でもある「心地よい振幅」もキーとなる可能性がある。

※これは長生術の特徴的な概念の一つと言える。そして「振幅単独による効果」を狙っているコンセプトは複数存在するが、ここまでに述べてきた要素を色々と複合した技術を提供する手技は珍しく、長生術独特の考えと言える。

 

まとめ:

現場ベースでの極端な例として「丁寧に施術されている」「乱暴に施術されている」というのは、「同じような施術をされてても明らかに違いが分かる」というのは、だれもが実感できること。更には「施術家のマインドセット」も重要。

それに、上記の「熟達した施術家の手・技術」による適切な適切な触圧覚刺激が加わることで、プラーナ(ここではプラセボ効果にしておく)が発動し、内因性疼痛抑制系を賦活するとともに、脳内鎮痛物質の増加をもたらす。

 

余談:読書感想文(プラーナに言及した部分)

 

ここまで記載した内容と重複するが、プラーナについて自分なりに考察した内容として「1年生の時に提出した読書家の感想文」を記載しておく。

 

プラーナに関しては、長生術の創始者である純宏法師の解釈に触れることが出来たのが有意義でした。

施術におけるプラーナの位置付けは、大まかに(東洋医学でいうところの)「気」のようなものだと理解しています。

そして恐らく、長生学園の先生方・上級生も大まかには同じように受け止めているのではと感じます。

この本では、(くり返しになりますが)長生術の創始者である純宏法師が考えるプラーナの解釈について、時には相撲や競馬の予想にも使われており、興味深かったです。本を読んだうえでの私なりの「プラーナを高めるために必要な要素」は以下の4つだと感じました。

 

  1. プラーナを自分自身が信じていること
  2. 触れただけで相手に気持ち良いと思ってもらえるほどに出来上がった施術家の手・技術
  3. 相手を良くしてあげたいと強く思う気持ち
  4. 「相手との信頼関係が構築されている」という下地
  5. 「自身の施術・価値観が絶対的に正しいのだ」という圧倒的なまでの先入観・自信

 

この5条件が揃い、実際の施術効果以上の効果が発揮できた際に「プラーナも相手に伝わった」と解釈できるのではと感じています。

※この5条件のうち、多くが揃うほどにプラーナが発揮されるのではと感じます。

※遠隔治療にも言及されているので①③④⑤が特に重要なのかもしれません。

 

あくまで現時点での解釈であり、私も学校を卒業するまでに自分なりのプラーナに関する解釈を見出していきたいと思っています。

いずれにしても、学ばなければならないことが山積だと思うと同時に、不器用な私が卒業までにどれだけのことが取得できるのかを考えると不安になります。

ですが、動かなければ始まりませんし、この3年間で多くのことを自発的に吸収していく姿勢を持ち続けたいと思います。

長生術の特徴③ 精神療法

心と身体のつながりを重視~

長生では、身体だけではなく心もケアできることが治療師として何よりも大切だと考えます。そのためには、治療師自身が患者さんに寄り添う心を持つことが必要です。クラスメイトや実技授業のペア同士で思いやりをもって接することで自然と治療師としての心構えを学んでいくことができます。

 

 

人間は、精神(心)と肉体の共存によって生きています。たとえば、精神的な悩みがあると、その反応として食欲不振や不眠などの症状、また肉体的疾患に見舞われると、不安や心配で気分もすぐれず、身体の調子が悪化するように感じられます。このように肉体の病気と精神の悩みは表裏一体であり、両面からの治療が必要となります。これまで、医療の世界では肉体的な面のみが重視されがちで、精神的な面については軽視されてきましたが、近年では心理的、社会的なストレスが種々の消化器病や、心の病の原因とされるようになりました。うつ病をはじめとした精神疾患に加え、胃潰瘍、狭心症、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、摂食障害といった心身症に属する疾患が増え続けています。このような心身症に相当する病気には、肉体面の変化の背後に精神的な原因が必ずあるものです。だからこそ心の治療、つまり精神療法が重要となるわけです。精神療法では、患者の気持ちをよく理解し、親身に相談に乗りながら解決への手助けをさせて頂く。 そのためには、患者から信頼される人格を身につける事が、肝要になります。

特徴④(番外編) 独自の軟部組織アプローチ

前置きが長くなったが、ここからが本題となる。

脊椎矯正について(専売特許ではない・デメリットもある・スラスト以外の方法も長生きでは中心になっている)

アライメント調整に対するエビデンス(自身も関節が歪んでいても症状があるわけではない。むしろ分離症。でも恒常性で症状が出ない。ファーストチョイスでアライメント評価はあり得ない。ただ、自費開業を目的とするのであれば何らかの特徴を持たせる必要があり、理学療法では昨今筋膜マニピュレーションが流行っており、すべてを筋膜で解釈することで特徴を前面に題している。なので、それが悪いことだとは思わない。ただし、医学をエビデンスベースで考えた場合には間違いであり、医学ではなく療術の域を出ていないと言える。

長生の特徴は「単純な指圧ではない軟部組織手技」と「身体矯正」の融合だと思う。

 

 

批判的思考ではなく、思い込みを持つこと。

療術に対しては、疑念は効果を半減させ、思い込みは効果を倍増させる。

 

脊椎矯正は長生のオリジナルではない。

ただ、筋へのアプローチを組み合わせている点や、独自のテンポ・プラーナなど複合的な要素が合わさることが特徴。

※各パーツでみたら、そこまで特徴的なことは無い。

 

長生学園は「あん摩マッサージ指圧の学校」であり、長生術における軟部組織に対するアプロローチ(把握しての振幅手技)は「あん摩」「マッサージ」「指圧」のどれに分類するのだろうか?

上記3つの中では「指圧」に分類するらしい。

ただ、「浪越指圧」や「リラクゼーションサロンでよく用いられている持続圧迫」と異なるのは「把握」という概念だろう。

これを用いることで手全体の密着感が高まり、長生でいうところのプラーナ・一般的な用語でいうところの「安心感」「プラセボ効果」「触圧覚作用による神経生理学的効果」も起こせる。

そして「把握」の作用を強めようと思った場合は弱圧の方が良いし、圧刺激による機械的作用を強調したければ強圧にする方が良い。

※授業では、どうしても学生は「機械的刺激」を意識してしまいやすいので(それが本来のあん摩マッサージ指圧なので)、あえて把握による弱圧を強調して指導されるため、相性が悪い人(強圧施術が好きな人)は興味が失せがちだったりもする。

ただし3年になってくると、実際は「強圧」「弱圧」は用途によって使い分けることが分かってくるため、「こんな弱い圧じゃ客を満足させられない」と思っている人は覚えておくと前向きに実技練習へ取り組むことが出来ると思う。

 

注意点として、把握しての圧迫振幅は「軟部組織への刺激」を目的としている場合と「関節への刺激を目的としている場合」があり、今回は前者についての解説となる。

 

また、リラクゼーションサロンで働いている人の中には、皮膚のダブリを取って効率よく軟部組織へ力を伝達できている人がいる。

この皮膚のダブリを取るという概念も把握に含まれる。例えば肘圧を軟部組織へ加える場合、直線的にズンと圧を加えるよりも皮膚のダブリを取り除きつつ圧を加えたほうが「弱い力で、心地よく深く入る」というのが理解できると思う。

こういうのは学生時代には(サロンで働いていたり、他有資格者で合ったりでない場合は)ピンとこないかもしれず、卒後に「あー、こういうことだったのか」と気づかされる場合もある。

 

長生学園

長生術が学べる学校は長生術のみである。

〒144-0055 東京都大田区仲六郷2-35-7
月~土(日祝祭日は休館)

昼間部

夜間部

 

授業料

 

場所

ユーチューブ動画を埋め込む

 

長生学園の特徴

独立開業する卒業生が最も多いのが特徴。

 

テキスト

 

「長生術」プラス「あん摩・マッサージ・指圧」を習得

一番大きな特徴は「長生術」を学べること。伝統の手技である長生術を学べる学校は、全国で長生学園だけになります。あん摩・マッサージ・指圧の科目に加えて、長生の実技授業は3年かけて基礎から応用まで段階的に学べるカリキュラムが組まれています。

 

 

治療師の身体を作る

長生術は、施術ベッドだけではなく、床や布団の上、椅子など治療環境を選ばずに施術することができます。基礎の授業を床で行うことで、施術の姿勢や重心の取り方など、身体の使い方を徹底的に学んでいきます。

 

柔軟性に富んだ施術方法

例えば、肩への施術する場合も、その方法はひとつではなく、その患者さんによってアプローチの仕方が変わってきます。患者さんの年齢や身体の大きさ、柔軟性、患部の状態などによって何通りもの異なる施術方法を学んでいきます。

 

一生活躍できる治療師に

長生術は決して力まかせの手技ではありません。指だけではなく、手のひら全体を使って施術を行うので、指を痛めたり、変形させるリスクが少ないのも特徴です。自分の身体のケア方法も身につけていくので、身体の小さい方や女性の方でも安心して学んでいただけます。40年50年と活躍できる治療師を目指してほしいと考えています。

 

 

幅広い施術対象と治療範囲

長生術の対象は、赤ちゃんから高齢の方まで幅広く、またリラクゼーションから病気やケガの治療や予防、スポーツアスリートのケアまで柔軟に対応することができます。また長生術は全身の施術を行うことで、筋、骨格系はもちろん、内臓、神経系など幅広いアプローチが可能です。

 

 

 

長生学園あるある

 

 

不向きな人

以下の人には不向きである。

シッカリとした指圧をしてほしい

凝っている部位を丹念に解されることでの快感を得たい

 

上記のマインドセットを施術に期待しているモノには、プラセボが働きにくい。

例えば、チョコレートが食べたいと思って、期待してチョコレートを買ったと思ったら、それはグミだった。というのと同じである。もし、その人が「グミが好きだった」としても、今欲しいのはチョコレートであり、その期待感を裏切る行為をしてしまえば(どんなにグミのすばらしさを力説したとしても)、満足度は低い。

そして前述したように、心身一体という概念からも分かるように「心は体に反映する」ため、最大限の身体機能改善は望めない。

一方で、「長生術私は大好き」「長生術でしたい婦長が良くなった経験を持っている」などであれば、機械的刺激以上の効果を施術に乗せることが可能となる。

※これは長生術が効く人・効かない人と差が出る大きな誘因。

※低速度高振幅手技に関しても、その効果(特に持続的効果)は患者の信念にも大きく左右される(特に、目的が「癒着の剥離」ではなく、定期的にバキボキされることいよる一過性の症状変化を「良くなった」と勘違いしてメンテナンスと称して通い続ける例が該当する)。

 

 

 

長生学園の項目に追加

 

長生学園(長生術)の劣位点

 

まずはデメリット(劣位点)から記載してみます。

個人的に感じる劣位点は以下の通り。

  • 本質を理解するのに時間がかかる
  • 好みが分かれる

 

本質を理解するのに時間がかかる

かなり習得に時間がかかる。中途半端に習得しても、活かせないので、結局そういう人はスタンダードなあん摩マッサージ指圧あるいはコンセプトに流れる。では、習得に必要な時間が十分にあるかと言われると、授業だけでは不十分で自主性が必要。

一番良いのは他と長生と両方受けてみることだ。

本質を理解できて、習得したいと思っていても、そもそも自分好みな刺激ではない場合は苦労するかもしれない。

※どうしても人は「自身がやってもらいたい刺激を他者に用いる傾向」があるから。

 

神経生理学的な作用を重視しているので、機械的刺激作用のロジックだけで考えてしまうと「何をやっているのかピンとこない」という内容も多い。

脊柱矯正は機械的刺激作用の最たる例だが、この様な分かりやすい刺激ではないものも多い。

 

好みが分かれる

⇒本質を理解したとしても、そのアプローチは好みが分かれます。

神経生理学的なアプローチは「受け手の施術に対する価値観」も重要となるので、尚更です。

「長生術のような刺激がもともと好きな人」は好反応が得られやすいです。

長生術を熱心に学ぶ人の傾向として「その施術で良くなた経験があるケース」あるいは「実際に体験して自分好みの刺激であるケース」は多いです。

 

一方で、トリガーポイント療法・指圧的な施術で「症状が良くなった経験ががある人」や「その様な刺激が好みな人」には好反応が得られない可能性があります。

 

施術家としても好みが分かれるし、受けてにとっても好みが分かれる。

機械的刺激を好む

 

 

いずれにしても、自身に合うかどうか、臨床実習室で体験してみることをお勧めします。

各施術家によって手法も多少異なるので、複数人の施術を受けてみると、本質がつかみやすいかと思います(施術料は格安です)。

 

長い歴史があるというだけでは、その手技の優位性は担保できない。

 

むしろ、・・・・・バイアスが生じるという弊害すらあり得る(理学療法のエビデンス記事を参照)。

 

 

 

 

長生学園(長生術)の優位点

 

次に「劣位点を踏まえたうえでの優位点」を記載してみる。

 

弱い刺激での施術が可能となる。

これは特に開業時に独自性を出すのに有利。

あん摩マッサージ指圧はどこでも学べます。

また、「あん摩」「マッサージ」「指圧」と標榜していないだけで、(無資格者が学ぶような)整体学校でも類似した手法は学べます。

 

一方で、(脊柱矯正はカイロプラクティックでも学べますが、軟部組織に対する)長生術に類似した手法は、他の学校では学べないと思います。

 

 

なので、地方の人はある程度ものにしなければフィードバックが受けれない)。

卒後に活動できる団体もあり、講習会も開いているが、内容をチェックして、理学療法の実施をマニアックすぎず基礎も復習できるか確認する必要がある。

 

長生学園の「学校附属治療院」

 

 

 

終わりに

 

長生ブランドを獲得するという意味ではよい!

 

90年続いている「日本の伝統療法」に該当する。

特徴は「プラーナ」「脊椎矯正」・・・・だが、タクティールケア・カイロプラクティックなどを日本人として統合した印象を受ける。

 

 

もちろん、長生医学(長生療術)の解釈には個人差があり、教員の中でも解釈が異なっている(そして、それが指導する手技にも表れるため、時に混乱する)ため、あくまで「私が考えている長生医学(長生療術)の本質」という点は理解してほしい。

 

この記事は以下のような人達に向けて記載している。

長生医学(長生療術)に興味があり学びたいと思っている人

長生医学(長生療術)を学んでいるにも関わらずコンセプトがイマイチ掴めていない人

 

また、「長生医学(長生療術)」

 

既に長生学園を卒業している人の中には、長生療術を積極的に活用している人、部分的に活用している人、活用せずアンチな意見を持っている人など様々だと思うが、これら卒業性に対して向けたモノではない(勝手に自身の信じる道を進めば良い)。

 

私は「日常生活で気になるような不調部位は無い」のだが、「左半身は指圧してもらえば気持ちが良い」という自覚はあったので、「もうちょっと強めに押してくれれば気持ち良かったのにな」といった消化不良感が施術後に残った。もちろん、空気を読んで「体が軽くなってスッキリしました!」と答えたのは言うまでもない。

 

結局、「脊椎矯正・プラーナ療法・精神療法」というものを理解出来ることがないまま、入学するに至った。

 

ここから先は、ピンとこないであろう(脊椎矯正を除いた)精神療法・プラーナについての実際を記載していく。

 

 

 

 

 

 

 

この記事を作成しようと思ったきっかけ

 

余談として、この記事を作成しようと思ったきっかけを記載しておく。

 

元々、以下の気持ちを私は持っていた。

  • 入学するまで長生医学について全く分からない。
  • 入学しても長生医学について十分な統一見解が無い。

 

前述したように、入学前にネットでリサーチしようにも抽象的な内容しか出てこない。

入学して上級生・講師に聞いても、自分なりの意見は持っているようだが統一見解は無い。であるからこそ「講師の個性(価値感)」が手技に上乗せさるため、何が本当か分からなく混乱する(講師たちからしたら「どれも正解で、本質は同じ」と答えるかもしれない。

 

で3年生に進学した際に「長生学園の論文監修なども担当している医師の授業」から以下のような言葉が出たからだ。

 

今やっていないることにはどういう生理学的意義があるのか?それを実技講師にちゃんと聞きなさい。

それを講師が説明できなければ、良くなった・良くならかなかったという現象だけの『療術』に過ぎないということだ。

それでは先の発展がないし、サイエンスと呼ぶには程遠い。

長生で生じる生理学的効果が分かってきてはいるものの、まだ療術の域を出ていないのが現状だ。

 

個人的にも、上記に同意であった。

そして、(外部講師という位置づけの医師とは言え)学校教員からその様な言葉が発せられたことを受け、「自分なりの長生療術(長生医学)についての私見を考察・まとめておきたい」と思うようになったのだ。

 

自分としては、サイエンスは期待していないので療術で十分なのだが、療術レベルであれば、長生療術と同等な効果が出せるコンセプトが無数に存在し、それら「良くなった・良くならなかった」と一喜一憂している他のコンセプトと比べて何ら優位性は無い。胡散臭い療術と変わらないのだ。

 

※もし十分な効果が立証されているのであれば、理学療法界隈・医療界隈でも話題になるはずだが、一切話題になっていない。

 

実際に長生術を学んできた私自身の実感としても、理学療法の様々なコンセプトと比べて「医学」と呼ぶには時期尚早だというのが結論だ。

 

 

生理学の先生の印象的な言葉

 

特別講義の講師の内容を見て生理学の先生ががっかりしていた。

これらを見てもコンセプトが分からないと。

 

どんどん長生術の名前を聞かなくなってきている。昔は有名だったが、今は浪越ばかりが有名になっているとのこと。

仲良しクラブのようだと。掲示板の特別授業の写真を撮影したが、訳の分からない人ばかり呼んでおり、仲良しクラブのようだと。

※確かに、左近先生の知り合いを呼んできたりだとか仲良しクラブな感じがして、長生術を強化・補強する講義にはなっていない気がする。

 

先生としては、手によるタッチが与える生理学的な影響を講義するなど、オキシトシンの権威などを呼んだ方が長生術を補完する内容になるのではと言っていた。

 

 

 

 

分かっていることは増えているが、それでも不十分。

エビデンスもあると言っているが、それを監修した本人である生理学教員の言葉。

先生に、生理学的にどういういみがあるのか説明し、それが説明できなければ療術であるとのこと。

 

 

もちろん、現象に理論が追い付いていない部分も多いと思われる。

長生に限らず、その様な「理屈では説明できないが、現象として起こるもの」は多々あり、「理論が現象に追いついていない」という側面もあるだろう。世の中には、まだまだ分かっていない現象が多いため「論理的に説明が出来ない⇒非科学的⇒学ぶ価値がない」という訳ではない。

ただ、盲信するのもアリだが、一歩踏みとどまって別の道を行くのもアリ。どちらも間違っていないということだ。

 

従って、更に長生医学の効果がハッキリと分かる時期が来るかもしれない。

ただし、それらは論理的ではないため、感覚的に語られることが多く、だからこそ「その感覚を自身が信じれるかどうか」といった相性が重要となってくる。

もし相性が悪い(信じれない)のであれば、同様な現象を起こせる療術は他にも星の数ほど存在するため、長生にこだわる必要はないし、そういう風にして自身に合った療術を発見して施行しているセラピストも多い。

 

一方で、ある程度エビデンスを有している知識・技術は覚えておく必要がある。

これらは残念ながら学校でほとんど語られていないが、医学書を読めば自ずと理解できるはずである。

 

 

 

 

脊椎矯正については高速度低振幅な手技も存在し、それを学ぶ。

しかし学生の中には、その手技に価値を置いていない人も多いし、クライアントの中にも手技の恐怖を持っていたり、関節音が生じることに苦手意識を持つ人も増えている。

フェアに言うとすると、高速度低振幅の手技を好む人もおり、それに価値を置くクライアントも存在する点は、フェアに強調しておく。個人的には(学生同士で遊び感覚で膝頭で関節を慣らしたりすることはあるが、)学ぶ価値はないと考えるし、臨床で使うこともないだろう。

理由は以下の通り。

・癒着しているケースを除いて、慢性的に関節を動かしている人は、単純にエンドルフィンの効果で一過性に満足しているだけ。指をポキッと鳴らしたら気持ちが良いが、翌日には再びポキッとなる状態に戻っている。で再びポキッと鳴らしたら気持ち良い。これを(自分ではできないから)他人にやってもらっているだけであり、それで何かが改善しているわけではない。

※むしろ、自分で指をポキポキと慣らさない方が「関節音が鳴らずに、こわばりなく指が曲がるようになる」という主張もある。

・寝違いなどで一過性に頸椎・上部胸椎がフィックスしているケースもあり、その場合は有効な可能性がある。しかし、寝違いは一過性症状なため、痛みを誘発させないように過ごしていれば数日で治る。また、稀に治らない症例がいたとしても、愛護的に関節モビライゼーションを施行してあげれば改善するケースがほとんど。

わざわざ、高速度低振幅な手技を用いる必要がない。

ちなみに、適応・非適応はちゃんと教えてくれるため「どんな人でも(技術が完璧になれば)適応になるのだ」という指導ではないので、そこは安心してほしい。

※特に頸部に関しては、年を重ねるごとに適応には注意が必要であるし、むしろ愛護的な手技が適応になるケースが多い点は強調している(スラスト信奉者は、こういう不都合な情報はスルーして患者へ適応してしまいがちだが、ちゃんと教員からは指導されている事柄なため、頭に叩き込むor記憶を蘇らしてもらいたい)。

年齢で区切るのは本来不適切であるが、一つの目安としては40代を超えるようであれば注意したほうが良いとのこと。

 

また、絶対に生理的限界を超えない(あるいは若干超える程度)の範囲でのも可動しなければいけない点も強調されている。